職場や運動場などで突然胸が締めつけられるような痛みに襲われ、そのまま帰らぬ人にそんな心筋梗塞が、働き盛りの男性の間で増えているという。
中国では古代よりこれを「真心病」と呼び、死に直結する病として恐れられてきた。とはいえ手をこまねいてきたわけではなく、真心病に対しては数多くの処方が考えられてきた。
速やかに痛みを取り除くためには、何よりも発作を鎮めるための開竅薬(かいきょう:一種の気付け薬)が必要になる。最もよく用いられるのは芳香性の蘇合香、麝香、冰片(ボルネオール)などで、処方としては冠心蘇合丸、応心六神丸などが有名である。これらの薬は服用後、口腔粘膜や呼吸器粘膜で速やかに吸収されるため即効性がある。
心筋梗塞は、心筋に栄養や酸素を運ぶ冠状動脈の詰まりが根本原因なので、冠状動脈を拡張し、血流量を増やす丹参、川きゅう、赤芍、紅花などの生薬も欠かせない。処方としては「楽脈顆粒」、「九龍丹」、「血栓心脈寧」などが有名、「楽脈顆粒」について、日本にはこの処方の改型である冠元顆粒が輸入されている。 |